2050年の世界の人口は98億人に達すると予測されています。
現在の世界の人口は76億人なので約1.3倍です。
FAO(国際連合食糧農業機関)によると人口増加に対応するには、食糧生産を6割上げる必要があるそうです。
しかし、同機関によると1人当たりの耕地面積は年々減少しているんだとか。
耕地面積が減少しているなか、生産を上げるということは歩留を上げる必要がありそうです。
先日、テレビ東京系列の「未来世紀ジパング」ではトラクターが特集されていました。
今回は農業×IT、すなわちAGRITECHを調べてみました。
農業×ITが注目されるようになり数年が経つので現状を調べてみました。
1年前の記事ですが、興味深い記事がありました。
記事では「ゼロアグリ」を導入した農家の成果についてまとめられています。
ゼロアグリはハウス内の作物に水と液肥からなる培養液を自動供給するシステムです。
供給量はハウス内に設置された土壌センサと日射センサのデータをもとにAIが考えます。ちなみに本体価格は120万円(リンク記事本文より)だそうです。
ベテラン農家の収穫量とゼロアグリを導入した農業初心者の収穫量を比較したところ、なんと農業初心者の方が上回ったそうです。
AIを活用して最適な管理をすることで効率の良い収穫ができることがわかりました。
AIさえ導入してしまえばなんとなく解決した気になります。
しかし、本当にそれだけで解決としていいのか?
NECとカゴメの取り組みを見てそう思いました。
仮に効率よく収穫できたとしても、収穫した作物を加工する側の生産能力が追い付かなければ作物は一体どうなるでしょうか?
加工に進む前に鮮度を保つことができなくなれば、廃棄処分になってしまいます…
NECとカゴメの取り組みを見て、収穫→加工→販売までをひとつの流れとして捉えないといけないことがよくわかりました。農業(収穫)の効率化だけでなく、生産加工の効率化も一緒に進める必要がありますね。
ゼロアグリとNECの事例を調べるなかで、両者に共通しているのは作物の同質化です。
AIやIoTを活用してモニタリングし、最適な手段を講じることで作物の質のバラつきがほとんどなくなり、同じ質で提供できるようになります。さらに無人トラクターも活用すればよりベストなタイミングでの収穫が可能になるでしょう。
ゼロアグリを活用した農家初心者の収穫量がベテラン農家のそれを上回ったように、人の経験値に左右されることなく、誰がやっても同じ質を保てるようになります。
これはAGRITECHがもたらす恩恵であることがよくわかりました。
農業×ITは今後伸びしろが大きい分野であると思います。
現にAGRITECHにより人に依存しない農業を実現できるため、農業にジョブチェンジする人も多くなっていくかもしれません。
ただ、問題は耕地面積の減少をどう解決していくかです。
今ある耕地を無くすことなく、如何に新しい耕地を獲得していくのか。
横に拡げることが難しいなら、縦に拡げる(階層を作る)しかないですかね。
今後ますます室内農場が進んでいきそうです。
AGRITECHで未来の食糧危機を救えると、信じたいですね。