3年毎に改定される介護報酬。
来月から2015年度ですが、2015年度は改正の年でもあります。
ご存知の方も多いと思いますが、介護報酬は2.27%の引き下げが決定しました。
特養の利用料下げ、在宅介護は引き上げ 厚労省 :日本経済新聞
上記リンクを見てもらうとわかりますが、訪問介護、訪問看護の利用者負担額が増えます。
介護報酬の財源は、利用者の負担が1割、残り9割は国や地方と40歳以上の国民が支払う保険料です。なので、リンクにある、利用者負担が増加するということは介護報酬が上がるということになります。
一方でデイサービスと呼ばれる通所介護や老人ホームなどは利用者負担額が下がるので、介護報酬は減少ということになります。
介護報酬は施設の運営費と人件費に直結しているので、施設は結構なダメージです。
この改定からも、国はこれからの介護は在宅介護だという方向性を顕著に示しているということになると思います。
介護職員処遇改善交付金というのは、人手不足である介護職に対して処遇改善を名目に毎月1人当たり1万5千円交付されるお金のことです。
今回の改正により、介護職員処遇改善交付金は1万2千円加算の合計2万7千円になります。
毎月、給料とは別に介護職員に交付されるわけですが、同時に介護報酬が減少になった通所介護などの施設は施設自体の収入が減るわけです。
施設などの事業所は介護報酬を基に施設の運営費と人件費を払っているため、施設自体の収入が減ると、自ずと職員の給料は減ります。ここに交付金が加算されても、交付金以上に収入が減ってしまえば、むしろ収入は改定前より下がることになります。
今回の改定により、国は在宅介護の方向性を示していますがこれからの日本において在宅介護は成立していくのでしょうか?
自分はとても疑問を感じます。
日本は少子化ですし、核家族化も進んでいるため、そもそも在宅介護の担い手がどこにいるのか?と危惧します。都会はまだ人がいますが、地方は働き手が都市へ流出しているため、在宅を担う家族がいないと思います。ますます老老介護が進んでしまう気がしてなりません。
在宅介護が増えるため、介護未経験者がある日を境に介護者になることは容易に想定できますし、現在も介護のために仕事を辞める働き手の方が多いです。
在宅介護の課題は、抱え込む、閉鎖的、などクローズドな環境になってしまうことがひとつあると思うので、そこにITツールを導入して見える化することは大事じゃないかなあと。
特に自分の親の介護ともなれば、周りに言いづらい、助けを求めにくいという状態になりやすいと思いますので、地域内での繋がりを介護状態になる前からいかに創るかもひとつではないかなと思います。
介護は決して他人事ではありません。
介護をイメージで認知するのでなく、実情をしっかり見ることを個人個人がもう少し意識するべきだと強く思います。