先日、AIに関する記事を読んでいたとき目に留まったのが「ロボットは東大に入れるか」という人工知能プロジェクトの話。
記事を読むと、プロジェクトの目的はAIに何ができるか、何ができないかを解明することだったようです。同記事で特に印象に残ったのが最後のページ。プロジェクトと並行で行った調査から見えてきたのは「日本人の読解力低下」だったようです。記事はこちら👇
「日本人の読解力低下」はなぜ起きたのか?
まず考えらえるのが「SNSによる短文コミュニケーションへの慣れ」だと思います。
日常のコミュニケーションの多くはLINE、Twitter、Instagramなどで行われていますが、その多くが短文であるということ。Twitterに関しては140文字という文字数制限がありますし、LINEはそもそも長文を送ることに向いてないし、Instagramはもはや画像によるコミュニケーション。明らかに長文を読む機会はなくなってます。
そのようなコミュニケーションに慣れてしまえば、当然教科書に載っているような長文、ましてや本は「よし、読むぞ!」という意気込みを持たないと途中でうんざりしてしまうのかもしれません。
短文コミュニケーションは、ネットスラング的な造語や顔文字、スタンプ、略語(「了解」を「りょ」など。それすらもう古い?w)など文字というより絵のコミュニケーションが成立します。読解力が低下した分、スキャン力が高まったのかもしれません。
読解力が高いか、低いか、以下の問題で検証してみてください。(答えは記事の一番下に書いてます。)
【問題】
「アミラーゼという酵素はグルコースが繋がってできたデンプンを分解するが、同じグルコースからできていても、形が違うセルロースは分解できない」
この文脈において、以下の文中の空欄にあてはまる最も適当なものを選択肢の中から一つ選びなさい。
セルロースは( )と形が違う
1.デンプン
2.アミラーゼ
3.グルコース
4.酵素
読みづらい文章ですが、よく読めばわかると思います。
正解できないということは、アミラーゼ、酵素、グルコース、デンプン、セルロース、これからの言葉の関係性を捉え切れていないことになります。「要するに○○」と文章の概略を抽出できないと、意味に辿り着く前になんとなくわかった気になる。雰囲気(ノリ)で理解した気になるのかも…。
TwitterもInstagramもタイムラインをスクロールするスタイルなので「読む」より瞬時に「スキャン」して、目に留まったものを「見る」って感じなんですかね。
いずれにしろ、短文コミュニケーションの影響で、書き言葉よりも話し言葉に慣れてしまったため論理性よりも「話したい事を話す」ことが優先されるようになったんだと思います。
堀江さん(@takapon_jp)の著書「多動力」の漫画版が出てますよね。これも日本人の読解力低下が関係しているかもしれませんね。
同著の編集者である箕輪さん(@minowanowa)はこう言ってます。👇
もう本読んでる時間ないよ。これからはマンガ!
— 箕輪2.0 (@minowanowa) March 5, 2018
「文章を読む」上で求められるのは「読解力」。絵がないので、文章という静的な情報から登場人物の心情や著者の考えを捉える必要があります。そのためには「主語」や「目的語」を読み取れないと難しい。ちとストレスがかかる。
一方で「漫画を読む」上で求めらえるのは「スキャン力」。絵(動的な情報)と吹き出しの文章(静的な情報)を瞬時にスキャンする必要があります。漫画の場合、絵のおかげで登場人物の感情もわかるので頭に入ってきやすいですよね。
「読解力」には、言葉からイメージ(絵)を作る能力も含まれていると思います。難しい文章や自分が知らない分野の話や考え方に触れると、イメージを作れずに理解に辿り着けないという場合もある。実際、メタップス佐藤さんの「お金2.0」は良本ですが、難しい部分が多いです。これが漫画になれば、より多くの人に「これからの考え方」がインストールされると思います。
あと今日メタ佐藤さんと話して
「お金2.0」も漫画化することになった。— 箕輪2.0 (@minowanowa) February 15, 2018
日本人の「読解力低下」は表面のまま捉えれば問題だと思いますが、別の見方をすると文章以外の方法で理解する方法を見つけたということだと思います。契約書や説明書、利用同意書など”敢えて”字面だけにして、思考停止させる方法もあるくらいですから、伝え方を見直す機会にもなるんじゃないでしょうか。
途中の問題の答えは「デンプン」でした。